いつでもマラソンOK?
辛夷の花が笑うように開いた春の日、笑顔がきれいな福士加代子さん(ワコール)とトークショーでお会いしました。この日福士さんはニュージーランドから帰国したばかりで、空港から直接会場入り。「焼けてるでしょ」と本人が言う通り、日に焼けた顔は一段と引き締まり目の輝きが目立ちました。
ニュージーランドへは日本陸上競技連盟が行う強化合宿だと聞いて行ったそうです。「それが最終日に報告書を書いた時に気付いたのですが、“マラソン合宿”だったんですよ」と福士さんは笑い、私も大笑いしてしまいました。というのも、福士さんは女子の3000、5000mとハーフマラソンの日本記録を持っています。スピードが際立っているだけに、多くの陸上関係者は彼女がマラソンで世界と闘う日を待ち望んでいます。しかし、当の本人は「マラソンはねぇー」といつもはぐらかすのです。初マラソンで30キロ過ぎに失速してから、マラソンに抵抗感を持ってしまった様子。
この合宿には天満屋の中村友梨香さんやホクレンの赤羽有紀子さん達も参加しました。練習メニューは40キロ走や長めのクロスカントリー等が中心。「道が細くて松の枝が顔に当たりそうになるし、地面もでこぼこでジャングルみたいでしたよ」と福士さん。かなり充実した合宿になったようです。そして合宿の最後に武冨豊日本陸連女子マラソン部長(天満屋監督)から「いつでもマラソン走れるよ」と言われたそうです。福士さんはそれをまんざらでもない表情で話しました。明るさが突き抜ける彼女の性格上、“マラソン”と構えて真面目に取り組むのは合わないでしょう。練習のようにサラリと走り、42.195キロの先に笑顔の花咲く日を待ち望んでいます。
(共同通信/2010年3月8日配信)
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