まずはウオーキングから
開き始めた桜が身を縮めるような花冷えの日、大阪市で「ウオーキングからはじまる健康づくり・まちづくり」というイベントが開かれました。主催者の話によると、大阪では何のスポーツをしていますか?というアンケートの答えで一番多いのがウオーキングだそうです。この日も午前中にたくさんの参加者が堂島川沿いを歩き、そのあと午後のシンポジウムに足を運びました。基調講演で東京大学名誉教授の宮下充正さんが「ウオーキングによる体力・健康への効果が科学的に証明されています」と様々なデータを基に説明。私は改めてウオーキングが呼吸・循環器系の機能を向上させたり、高血圧症を改善したり、骨粗鬆症の予防、脳への血量も増やす等という効果を知りました。更にパネルディスカッションで、大阪ガス・産業医の岡田邦夫さんが「生活習慣病というよりも今は生活環境病という方が相応しいと思う」と。外へ出れば車、家の中ではリモコン片手に動かないという便利な環境が病気に繋がるというのです。全く同感です。
そして、ウオーキングから見える街の表情について考えさせられました。遊歩道が充実していて花が多く、自転車が整然と並んでいる街は優しい印象を受けます。大阪市でも中之島公園が改修され、遊歩道も整備されました。その美しく開放感のある風景は、きっと子ども達の感性を育むでしょう。中心部だけでなく、暮らしのそばにそれぞれの歩きたくなる道があれば素敵。
今、「スポーツ立国戦略」と銘打って、文部科学省が動きだしています。五輪でメダルをいくつ取るかという競技スポーツの強化は大切です。と同時に国民がスポーツを通じて心身共に健やかになれる環境づくりも大切だと思います。
(共同通信/2010年3月29日配信)
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