増田明美のホームページ ビデオメッセージへ各種お問い合わせへトップページへ

TOP > おしゃべり散歩道 > 2010年目次 > エッセイ第15回
プロフィール
おしゃべり散歩道
イベント情報
出演予定
執筆活動
リンク集

おしゃべり散歩道2010

小鳥のさえずりの中で

 小豆島草壁港に近づくと、桟橋で手を振る大森喜代治さん(82歳)と秋村善道さん(73歳)の姿が。思わず胸が熱くなりました。これまで小豆島を仕事や旅行で10回程訪ねていますが、いつも「お帰り」と出迎え、「またね」と送って下さるお二人です。しみじみその土地を好きになるのは、待っててくれる人がいる嬉しさなのだと感じます。この日は「小豆島ロータリークラブ創立50周年記念講演会」にお招きを。最近、小豆島では映画やドラマの撮影が数多く行われるようになり、この週も2つの撮影が。小豆島好きの私としては、壷井栄さんの小説「二十四の瞳」の舞台が時代を越えて愛されていることが嬉しい限りです。小豆島町長の坂下一朗さんの話しによると「一昨年にオリーブ植樹百年祭で多くの取材を受け、それをきっかけに映画村等が誘致に取り組んだお陰です」と。映画村から宿まで静かな内海湾沿いをジョギングしました。今回大きな発見が。小鳥たちのさえずりです。それはまるで鶯やメジロ達の歌の発表会のような賑やかさで、隣を走る夫が「酔っぱらって『ねぇ、聞いて聞いて聞いて〜』と高い声と言う明美さんに似てるね」と。「キイテキイテキイテー」と私はメジロ達と鳴き合わせを楽しみました。
 そんな声を聞きながら育った小豆島の中、高校生が講演を聴きに来てくれたのです。私がすぐに良い結果が出なくても自分がやるべきことを続けられる人が尊いのですと話すと、目を輝かせて聴いてくれました。質疑応答で「自信を持つためには何が必要ですか」と女子生徒。「目の前にあることに日々一所懸命取り組むことです」と私。帰り、フェリー乗り場に向かう車中で「ホーホケキョッ」とまた鶯が鳴いてくれました。

(共同通信/2010年4月12日配信)

次のエッセイを読む 【2010年の総合目次へ】 前のエッセイを読む


Copyright (C)2001-2021 Kiwaki-Office. All Rights Reserved.
サイト内の画像・文章等の転載・二次利用を禁じます。