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おしゃべり散歩道2010

芽吹く新しい力

 街路樹の葉はまだ小さく、生まれたての新緑の仙台。5月9日母の日に第20回仙台国際ハーフマラソンが開催されました。仙台市陸上競技場には高円宮久子様がご臨席。ベージュに藤色のスーツ姿の久子様は初夏を連れてこられたかのような爽やかさで貴賓席から手を振られました。そしてグラウンドに降り、選手達に優しい母のような笑顔を送って下さったのです。この大会は仙台の6つの姉妹都市から招待された選手達と交流を深めることも目的の一つ。スタート前、ダラス市(米国)やアカプルコ市(メキシコ)等の選手達と日本の選手が語り合う姿に、国際都市・仙台を感じました。
 さてレース。男女が対照的な展開でした。男子は初ハーフのマーティン・マサシさん(スズキ浜松AC)が8キロ過ぎから独走し、北京五輪金メダリストのワンジルさんが持つ大会記録に挑戦。惜しくも5秒届かなかったものの59分48秒の好記録で優勝。表彰の時「仙台でデビューしたマサシさんは陸上界のマーくん」と東北放送社長の一力敦彦さんの言葉に大きな拍手が。そして女子のほうは最後の最後まで接戦。優勝争いをしたのはワコールの樋口紀子さん、野田頭美穂さんと京セラの宮内宏子さんです。ラスト800m、定禅寺通のけやき並木の下、大きなストライドで逃げる樋口さんをパワフルなピッチ走法の宮内さんが追い、野田頭さんもなり振り構わぬ走りで食い下がる。それはまるで百m競争のような激しさ。優勝した樋口さん(1時間12分51秒)と3位の野田頭さんまでの差はわずか3秒。私は移動車から解説をし、ゾクゾクしました。オリンピックなどは記録よりも勝負。芽吹く若葉のような新しい力に期待が持てます。

(共同通信/2010年5月10日配信)

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