復活に向け黙々と
雨を待つ紫陽花の花。陸上界は野口みずきさん(アテネ五輪女子マラソン金メダリスト)の復活を待っています。直前の故障による北京五輪欠場から2年弱、大きな大会に出場していません。お正月、野口さんから届いた年賀状には「今年は元気に走ります」と、大きな文字の最後にニコニコマーク。
「みずきちゃん、元気ですか?」先日、彼女が兄のように慕うコーチの廣瀬永和さんとお会いしお話を伺いました。野口さんは未だに左脚の付け根の深部に痛みがあり、この痛みは消えないだろうということ。それは「剥がれない“かさぶた”のようなもので、うまく付き合っていくしかありません」と廣瀬さん。元々野口さんは筋力が強く、そのお陰で大きなストライドのパワフルな走りが出来ました。しかし、故障期間中に練習が出来なかったことで脚の筋力が衰え、それにより、余計に痛い部分へ負担がかかっているようです。「表面の大きな筋肉(大腿四頭筋等)を強化することで、深部への痛みが和らぎます。今、野口は2週間に1度病院でチェックを受けながら、筋力トレーニングに励んでいます」と。京都にあるその病院はバンクーバー五輪フィギュアスケート銅メダリストの高橋大輔さんの治療も行った所。病院で野口さんはリハビリに取り組む様々な患者さんに接し、「いい社会勉強になる」と廣瀬さんに明るく話すそうです。「競技を辞めたいとは言わないですか?」と伺うと、「それは全くないですね」と廣瀬さん。ただ、彼女は強い練習ができないもどかしさを1度だけ廣瀬さんに爆発させたことがあったそうです。でも、その後は黙々と日々の練習を続けている様子。「忍」が咲かせる花を待っています。
(共同通信/2010年5月24日配信)
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