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おしゃべり散歩道2010

日本勢2人が激戦

 北海道とは思えない位の蒸し暑さの中、7月4日札幌国際ハーフマラソンが開催されました。私は女子の先頭集団を移動中継車から解説。レース前から楽しみだったのは、米・ボルダーの高地で日本陸上競技連盟主催の3週間の合同合宿を終えたばかりの選手が6人走るということ。加納由理さんや中村友梨香さん、赤羽有紀子さん達です。女子マラソン部長の武冨豊さんは「実業団という垣根を取り、日本全体でロンドン五輪へ向けて意識を高めていくことが大事です」と。ボルダーでは3グループに分かれて、ハードな練習を行ったそうです。「今までにない走り込みでスタミナが付きました」と加納さん。中村さんは「練習だけでなく、先輩方の日常生活から意識の高さを学べました」と。日本の女子長距離界が一丸となって世界と戦おうとする空気を嬉しく感じました。
 さて、レース。気温30度に迫る中、序盤の下り坂を使って飛び出したのは、ケニア出身のドリカさん(日立)とダニエルさん(ユニクロ)です。すぐに日本選手は離され、私は「あー、またこのまま置いていかれてしまう」と思ったところ、加納さんと野尻あずささん(第一生命)が猛追。4人でトップ集団を形成したのです。まるで終盤に上り坂があることを忘れているかのような野性的な走り。レース前、武冨さんの「これからはどんなレースでも攻めの姿勢でいかなければ世界と戦えません」という言葉を思い出しました。後半ドリカさんが遅れ、残り2キロ地点の上り坂でダニエルさんが脱落、日本の2人の激しい戦いに。そして最後は加納さんが制したのです。心のスタミナが感じられた熱いレースに感動しました。

(共同通信/2010年7月5日配信)

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