土に触れて心を休ませる
7月中旬、「暑気払いをしよう」と瀬古利彦さんから連絡があり、Qちゃん(高橋尚子さん)と一緒に食事をしました。サッカーW杯の応援ツアーに参加した瀬古さんのお土産話にQちゃんも私も興味津々です。瀬古さんは予選リーグ第一戦のカメルーン戦を現地で応援。早稲田大学時代の同期でもある岡田武史監督に出発前に渡した白いトランクスの写真を見せながら、「俺だけじゃなくて、柔道の山下泰裕さんのサインも、ほら」と瀬古さん。勝負強いアスリート達のエールが岡田監督を勇気付けたに違いありません。瀬古さんによると岡田監督はいつも一仕事終えると北海道の農地でゆったりとした時間を過ごすそうです。するとQちゃんが「私も北海道で農業をしているんですよ」と。現在千葉県中部で暮らすQちゃん。「夜はカエルの大合唱を聴きながら眠り、朝は小鳥のさえずりで起きます」と嬉しそうに話します。普段から豊かな自然に触れているQちゃんがなぜ農業に取り組むかというと、「選手時代は走って、食べて、寝て、走っての繰り返しでした。食事は食材の安全性や鮮度などをすごく意識していましたので、農業を通して食の大切さを伝えていければ」と。月に一度のペースで北海道へ行き、長芋を掘ったり、じゃがいもを植えたりしているそうです。発信力のあるQちゃんに相応しい活動だと思います。
アスリートや俳優さんが農業に取り組み、農業に対する関心が高まることはそれだけで価値のあることです。でも、使命感だけで取り組んでいるとは思いません。大きなプレッシャーと戦い続けた岡田監督もQちゃんも、今は土に触れて心を休ませているのではないでしょうか。
(共同通信/2010年7月16日配信)
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