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おしゃべり散歩道2010

ロンドン五輪、絶対に出場

 夏休みに入った子ども達の歓声に向日葵が揺れる7月下旬、長野県菅平高原へ。酷暑を避け、陸上長距離選手達がそこで合宿をしていると聞いていたからです。菅平に着くとまるで別世界。涼しい風が吹き抜け、朝晩は20度を下回るほど。白樺林から響くカッコウの鳴き声で目覚めるのは久しぶりでした。朝6時、小学生の姿が多く、みんなで体操するサッカーチームあり、コーチを先頭に散歩をするラグビーチームあり。その脇を走ると「おはようございます」と次々に元気よく挨拶をされ、私は改めてスポーツをする風景は街全体の色を明るくしていると感じました。
 そんな中、急な上り坂を風のように走ってくるランナーの姿が。誰だろうと目を凝らして見ると、野口みずきさんでした。私に気付いた野口さんは右手をさっと上げ、笑顔で駆け抜けていきました。躍動感あふれる走りが戻ったことを嬉しく思い、コーチの広瀬さんに電話。午後から宿舎を訪ねることに。野口さんは誕生日に届いたというケーキを運んでくれて、私たちは談笑しました。「毎朝、菅平口まで車で下りて、そこから9.5キロを走って上ります」と野口さんが言うので、どうして上りなのかと尋ねると、「まだ平坦で追い込んで負担をかけたくない。上りを普通に走って、筋力アップを図っています」と広瀬コーチ。「みずきちゃん、ロンドン五輪は?」と聞くと、間髪いれずに「絶対に出場します」と大きな目を輝かせ、「ロンドン五輪を終えた後に、あー、あの長い故障期間があったからこそ、この結果が生まれたんだと言えるようになりたいです」と。この冬には大会出場を考えているとのこと。野口みずきさんがいよいよ動き出します。

(共同通信/2010年7月26日配信)

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