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おしゃべり散歩道2010

ラオスの幼稚園視察

 タイ・チェンコンからメコン川を船で渡ること2分、ラオスへ。そこから、パ・ウドム郡という山間の地域まで車で2時間半移動しました。赤土のデコボコ道を牛糞を避けるように歩く子どもや、その前を横断する鶏や豚の親子。豊かな田園風景が広がり、それは50年以上前の日本の風景に似ているのかもしれないと感じました。ラオスを訪れたのは国際NGOの日本フォスタープラン協会の仕事で4日間の視察でした。協会では発展途上国の子ども達を支援するために幼稚園の建設や教育のカリキュラムを開発したりしています。今回、私はモクソー村に建設中の幼稚園を視察。到着すると約200人の児童・園児が、園舎の前の草むらに並んで私を待っていてくれました。どの子も珍しい物を見るような目で私を見つめます。サバイディー(こんにちは)と挨拶をすると、はにかむような表情でなかなか打ち解けられません。裸足の子どもが殆ど、何人かがゴム草履を履いています。そして小さな子どもが泣くと、周りの友達が肩に手を回したりして、弟や妹を世話するように優しいのです。
 「あの坂の上まで走ろうか」と、皆で赤土の道を走りました。すると、花びらのような笑顔を向ける子、私の手を握る子等々、あまりの変わり様にびっくりしました。走ることで心が通い合ったのです。「子ども達は移動では走っていますが、スポーツとして走った経験は初めてかもしれません」と園長先生。確かに園庭を見ると草が茂り、所々に牛の糞もあり、グラウンドとは言えないものです。可愛らしい子ども達の表情を見ながら、園舎の建設と共に思い切り走り回れるグラウンドの整備が必要だと感じました。

(共同通信/2010年8月2日配信)

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