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おしゃべり散歩道2010

30分間止まらずに歩こう

 金木犀の甘い香りが漂う午後、東京で「運動器の障害」と題した市民公開講座が開かれました。日本整形外科学会理事長の中村耕三さんと日本臨床整形外科学会理事長の藤野圭司さんのお話を伺った後、私はお二人に加わりシンポジウムに参加。この日、ロコモティブシンドロームという言葉を初めて知りました。ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは骨、関節、筋肉など体を動かす器官である運動器の障害です。中村さんは、これからメタボリックシンドロームと同じように、世の中に認知されるように啓発活動を行っています。というのも、今、介護保険を利用する人は450万人。その原因となるのは、脳卒中が23%、認知症が14%。そして骨や関節など、足腰からくるものが21%で約90万人いるとのこと。「ひざなどの痛みは歳のせいだと我慢してしまい、病院に来る頃には手遅れになっていることが多いのです」と藤野さん。そういえば、私の母も台所仕事をする時に流し台にもたれるように立っています。腰が悪いのに病院に行きません。中村さんは「骨や筋肉は重たいので、体が必要を感じなければ作られません。運動器は動かさなければどんどん衰えてしまうのです」と話します。私は消化器や循環器と違って、運動器が唯一自分の意思で動かすことが出来る器官であることに気づき、日頃からの運動習慣の大切さを実感しました。
 ロコモの予防にはウォーキングが最適です。背筋を伸ばし、大股で歩けば、運動器が活発に動きます。藤野さんは30分間止まらずに歩いて欲しいと話した後、「毎朝犬の散歩をしていますという方がいますが、それは犬の運動ですよ」と。会場は大きな笑いの渦に包まれました。

(共同通信/2010年10月8日配信)

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