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おしゃべり散歩道2010

興味深い競技歴の違い

 秋風にホッとするこの頃ですが、地球温暖化の影響はマラソンにも表れています。8月末の北海道マラソンでは 気温が30℃以上となり、参加した約8000人のランナーのうち、2000人以上が途中棄権。10月10日のシカゴマラソンでも27℃まで上がり、選手達は予想外の暑さに苦しみました。8位入賞の吉田香織さんは「後半の日射しは肌に刺さるようでした」とレースを振り返ります。気象予報士の森田正光さんにお話しを伺うと、「今夏の暑さは温暖化の影響だけではなく、春までエルニーニョ現象が続いたことと、ラニーニャ現象が始まったことにもよるのです」と。
 それにしても27度という気温の中、女子優勝のロシアのリリヤ・ショブホワさん(32歳)の記録は2時間20分25秒と驚くべきもの。昨年は世界で誰も2時間22分以内で走っておらず、記録は伸び悩んでいました。この好記録は、いよいよ2012年のロンドン五輪へ向けて世界が動き出したという感じです。
 前半から積極的な走りをし、ハイペースの立役者となったのはエチオピアのバイサさん(23歳・2位)とダスカさん(26歳・6位)。最近の海外マラソンではエチオピアとロシアが上位を分け合っています。興味深いのは、両者はマラソンに移行するまでの競技歴が違う点。ロシアでは30歳位までトラックでとことんスピードを磨きます。ショブホワさんも5000mの欧州記録保持者。一方のエチオピアの選手達はあまりトラックをやらずにクロカンやロード練習を主にして、マラソンに移行するのです。そして日本はというと、トラックでスピードを磨き、駅伝でロードのスピードを加えマラソンへ。それぞれの国のマラソンへの練習法、スタイルは違います。

(共同通信/2010年10月18日配信)

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