すっかり後輩びいきに
福島市街地にひょこんと浮かぶ島のような信夫山。今年は紅葉が遅れていました。しかし、街路樹は綺麗に色づき、まるで勢い良く走り出す選手たちを照らしているよう。第26回東日本女子駅伝(11月14日)が開催され、私のふるさと千葉県が9年ぶりに優勝しました。今年、千葉は当たり年。国体が大成功に終わり、プロ野球は千葉ロッテマリーンズが日本シリーズを制し、駅伝がそれに続いたわけです。
スタジオで解説していた私は、瀬古利彦さんの気持ちが分かりました。瀬古さんが大学駅伝で母校の早稲田大学びいきの解説をすると「公私混同している。解説は中立じゃなきゃ」と親しい先輩ながら苦言を呈したくなっていたのです。でもこの日、私は母校成田高校の後輩2人の連続区間賞の活躍に、はやる気持ちを抑えきれずにいました。中立でなく応援解説になっている自分に気づいたのです。
6区を区間新記録で走った小ア裕里子さん(成田高2年)。インターハイや国体でも上位を争う選手ですが、学校の成績もトップクラス。大会前日に細い体を弾ませて私の所に駆け寄り、あいさつの後「どうしたら筋力がアップしますか」と貪欲に質問してきます。7区区間賞の伊藤恵美さん(3年)は成田高でキャプテンを務め、練習のし過ぎで集合時間に遅れた小アさんのこともフォローする優しいリーダー。「部室には増田先輩の写真が飾ってあります。学校にもいらしてください」と、とにかく可愛いいのです。2人とも次は全国高校駅伝でいい走りを見せて下さいね。
すっかり後輩びいきの文章になってしまいましたが、母校への愛情や郷土愛は誰でも持っているものですよね。それを強く感じた信夫路でした。
(共同通信/2010年11月15日配信)
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