経済発展を優先?
アジア大会中の中国・広州へ行くと、街の至る所で可愛らしい5頭の羊のキャラクターが迎えてくれました。何でも紀元前300年頃、羊に乗った5人の仙人がこの地に稲穂をもたらしたという故事があるそうです。優しい出迎えはそれだけではなく、空港から宿舎まで、またマラソンコースの道端にもずっとマリーゴールドやサルビア等々色とりどりの花々が。大会最終日、その道を猛烈に追い上げて銀メダルに輝いた北岡幸浩さん。マラソン2回目にしての勝負強さはマラソン3回目でバルセロナ五輪銀メダリストとなった森下広一さんを彷彿させます。
そして女子は嶋原清子さんが5位、加納由理さんが7位。「朝、緊張の余り吐きました」とレース後加納さんは自らのプレッシャーに対する弱さを責めました。しかし私はそれよりも体の疲れが抜け切れていなかったことが原因だと思います。初冬にピ−クを合わせるため、夏に走り込みをしなければいけません。二人は猛暑の北海道で走り込み、嶋原さんはその疲れから腎盂炎になり10日間入院。加納さんも疲れを残したまま米・アルバカーキ合宿へ。でもロンドン五輪へ向けて、きっとこの経験をバネにするはずです。
ところで私は広州市南部に開発された地域のメディア村で5日間生活しました。新築マンションの住み心地は何とも快適。しかし、どの試合会場に行くにも1時間以上かかり参りました。選手村も同じ場所。きっと選手の皆さんも移動に苦労したことでしょう。「南部を発展させるために、アジア大会に合わせてニュータウンを作ったのです」と現地の通訳さん。大会関係者の利便性よりも経済発展を考えるところが中国らしいのかもしれません。
(共同通信/2010年11月29日配信)
|