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おしゃべり散歩道2011

未来への活力あふれる力走

 東日本大震災から8カ月。被災した福島市で復興駅伝と題し、例年通り第27回東日本女子駅伝が開催されました。復興の道を歩む東日本の方々に、17都道県の選手たちの走る姿はどのように映ったでしょうか。
 主催者には開催反対の意見も届いていたようです。しかし、専門家による調査を経て主催者側が決断し、各チームからの参加表明もあり無事に開催にこぎつけました。私が取材する中でも多くのチームの監督さんから「震災を乗り越えて開催してくれる福島の皆さんに感謝の気持ちを持って走りたい」という声が聞かれました。確かに選手は大会という目標があるからこそ日々精進できるのだと思います。
 今年は未来に向けての活力が感じられる力走が多かったです。抜かれた選手があきらめずに必死に喰らい付く姿や、1秒でも早くたすきを渡そうともがく姿に、選手たちの「共にがんばりましょう」という思いを感じました。特に神奈川県と長野県の優勝争い。1位でたすきを受けた長野県のアンカー(10km区間)は小田切亜希さん(名城大3年)。その直後に神奈川県の吉川美香さん(パナソニック)に抜かれたものの、追走しました。吉川さんは日本代表経験も多く、1万mの自己ベストタイムは小田切さんを1分近くも上回ります。それに臆することなく小田切さんは果敢に攻め、残り2.7キロで再びトップへ。普段はクールな表情の吉川さんは顔をゆがめて追いました。勝負は競技場内までもつれ、ラスト200mで吉川さんが抜き返し、神奈川県チームが7年振りの優勝。2チームともが大会新記録の見事な走りだったのです。
 紅葉が遅れていた信夫路も、この日ばかりは選手たちの躍動する姿が街を彩りました。

(共同通信/2011年11月14日配信)

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