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おしゃべり散歩道2012

ベテランの走りに勇気を

 年女で迎えたお正月。群馬県で開催されたニューイヤー駅伝の初仕事を終え、翌日は千葉の実家で箱根駅伝をテレビ観戦。東洋大学の柏原竜二さんがトップで襷を受けると速いペースで逃げ切り区間新記録を樹立。ゴール後「僕が苦しいのは1時間ちょっと、福島の人に比べたらきつくはなかった」と話すのを聞き、感涙にむせびました。「1時間ちょっと」の戦いのために、どれだけ苦しく孤独な練習に耐えてきたことでしょう。
 それから、お正月休み返上で合宿をしている選手を応援したい気持で一杯になり宮崎へ。暖かい宮崎に集ったのは、ワコール、ダイハツ、京セラ、しまむら、ノーリツ、十八銀行の実業団チームと名城大学の選手たち。皆さん「お正月は宿舎でお節料理を頂きましたよ」と話しながら、朝と午後、合わせて約40km走っていました。その中に小アまりさん(36歳・ノーリツ)の姿も。小アさんは昨年7月に長男学叶君を出産。「走ると股関節がガクガクします」と昨秋は話していましたが、お正月早々チームに合流して練習。私がお邪魔した日は合宿の成果をみるためにと第1回ひむかレディーストライアルが開催され、小アさんも参加しました。産後5カ月で胸も大きく、腰回りも以前よりふたまわり大きくなった彼女は20代の選手たちに大きなストライドで必死にくらいつき、16分41秒でゴール。その姿を見ていた福士加代子さんが「凄い、逞しいですね!」と目を丸くしていました。大阪国際女子マラソンを走る福士さんに大変な勇気を与えたようです。
 日本の女子マラソンは赤羽有紀子さんや小アさんのように、人生を母としても逞しく生きる選手たちに支えられていくのだと感じました。

(共同通信/2012年1月6日配信)

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