金メダリストと子ども達
立春の翌日、青空に奥多摩の山々を眺めながら埼玉県飯能市へ。野口みずきさんが藤田ランニングアカデミー(FRA)のゲストで来るというので会いに行きました。FRAは彼女の元監督藤田信之さんが主宰し、全国を回りながら将来の五輪選手を発掘しようというイベント。17回目を迎えた今回の会場は駿河台大学。ただ私は内心、野口さんは3月にロンドン五輪の選考会・名古屋ウィメンズマラソンを控えているため来ないのではないかという思いもありました。
しかし、午前中のトークショー会場へ入ると藤田さん、真木和さん(バルセロナ、アトランタ五輪代表)と談笑する野口さんの姿が。会場は小中学生と親御さん達でいっぱい。話の中で金メダルを取ったアテネ五輪のことについて、野口さんは「五輪発祥の地で勝てたことは本当に嬉しかった。ゴールへ向かう道のライトアップ、パナシナイコ競技場の大歓声、もっと走りたい、終わりたくないと思っていました」と。臨場感溢れるその話術がまた素晴らしく、子ども達の目はキラキラ輝きました。五輪の魅力、そしてもう一度その舞台を味わいたいという野口さんの強い思いが伝わってきたのです。
そして午後はグラウンドで実技。120人ほどが8組に分かれ様々な種目で体力チェック。そして組毎の800m走は全員が猛ダッシュ。野口さんは最後尾を走る子どもを何度も何度も笑顔で伴走しました。その姿を眺めながら「小学生と身長変わらんなぁ」と藤田さん。私が「選考会前なのに、よく来てくれましたね」と話すと、「子どもたちと一緒に走ることが好きなんや。気分転換になるし元気になれるんとちゃうか」と娘を見る優しい表情で話しました。
(共同通信/2012年2月6日配信)
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