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おしゃべり散歩道2012

陸上大河ドラマ

 建国記念日、阿蘇へとそよぐ風に上品な水仙の香りが漂いました。熊本で開催された第41回RKK女子駅伝。今年も東京五輪女子100m×4リレーのアンカーだった松尾任子さん(旧姓:井口さん)と共に解説をし、フランクなコメントのやり取りが大変楽しかったです。中高生の陸上部から職場の仲間やママさんチームまでレベルは様々。1チーム5人で約400チームが参加しました。「走るにはちょっと体が重たそうですね、私も人のこと言えないですけど」と松尾さんは苦笑い。“過去の栄光”とのネーミングで、地元出身で三井住友海上陸上部で活躍した江藤佑香子さんも高校時代のライバルと共に参加。走り終わった後、生放送中に「このチーム名は誰が付けたの」と私が聞くと「チームのお笑い担当が付けました」と江藤さん。笑顔が弾け、誰の表情にも健やかさが溢れています。この大会を32年間支えるライオン株式会社の濱逸夫社長は「今日を愛するという視点で家庭用品を提供する私たちと、今日一日を仲間と共に愛し明日につなげる皆さんは同じです」と爽やかにご挨拶。
 大会も楽しいのですが、前の晩に松尾さんから現役時代のお話しを伺えることが有意義です。織田幹雄さん、南部忠平さん、田島直人さんと三段跳びで三大会連続の五輪金メダリストのお話。また、「その時代のマラソンは走っていてフラフラになると、監督は手を触れられないからレモンなんかを顔にぶつけて気合いを入れていたのよ」と松尾さん。当時の緊張感、匂い、大らかさが漂い、まるで“陸上大河ドラマ”のようです。これは私が聞くだけではもったいない、本などに残していかなければいけないと実感するのです。

(共同通信/2012年2月20日配信)

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