二人三脚で大きな花を
エリザベス女王在位60周年に沸くロンドン。通りには無数のユニオンジャック(英国国旗)がはためいていました。5月27日に開催された市民レースの取材で訪れた私は、その翌日マーラ・ヤマウチさん御夫妻とお食事を。マーラさんは英国外交官時代に日本に勤務し、そこでご主人の山内さんと出会い結婚しました。外交官を休職して日本で練習を積み、北京五輪女子マラソンでは6位入賞を果たしたのです。ロンドン五輪の目標はメダル。
世界遺産の植物園で有名なキュー・ガーデンで待ち合わせ。ポロシャツ姿で現れたマーラさんは「英国陸連での会議の帰りなの」と言ってすぐに白いブラウス姿に着替えてきました。スポーティからエレガントへの切り替えが正に英国淑女。お二人のお住まいはロンドン郊外のテディントンという町です。「五輪前に日本選手団が直前合宿を行う予定の場所なんですよ」と山内さん。町にあるセントメリー大学にはスポーツ施設が充実していて、広大な公園も広がっているそうです。
私はヒースロー空港でオリンピックとパラリンピックの選手が同じ大きさで紹介されていることに感動したと伝えました。すると「英国はパラリンピック発祥の地ですし、選手も人気がありますよ」とマーラさん。「でも中継は、日本は選手の歩んできた過程を伝えてくれるけど、英国は結果だけ。日本のほうが情があるわ」と。
五輪開幕の1週間前はマスコミ取材を避けるためにポルトガルで合宿を行うようです。「本番は序盤から速いペースになると思う」とマーラさんは予想。私は掲揚台でユニオンジャックが上がりそうな予感。緻密な二人は競技生活の集大成で大きな花を咲かせそうです。
(共同通信/2012年6月4日配信)
|