女王・福士さん
福岡県福津市の宮地嶽神社は全国にあるに宮地嶽神社の総本宮。開運商売繁盛の神社として有名ですが、その前を「めでたい、めでたい」と掛け声をあげるように駆け抜けたのは福士加代子さん(ワコール)です。10月28日に開催された実業団女子駅伝西日本大会の花の3区で11人のゴボウ抜きをし、区間新記録を達成。駅伝の幕開けを楽しむような笑顔での力走でした。ワコールは福士さんでトップに立ち、その勢いを受け継ぐように5区で21歳の高藤千紘子さんが区間新記録でアンカーにたすき渡し。それを守って初優勝に輝いたのです。
驚くことに福士さんは1週間後の11月4日にニューヨークシティマラソンを控えての出場。40キロ走を2回こなすなど、スタミナ練習を入念に行ってきました。シャープな動きにも磨きがかかり、ニューヨークでは2時間22分31秒の大会記録を更新するかもしれないと期待は膨らみます。走り終わった後、本人も「軽すぎるかな〜、でも来週は6人分を一人で走るんですよ」といつものように明るく話してくれたのです。夏のロンドン五輪には5000mと1万mに出場。自分のレースのことだけではなく、共に日本代表として出場した吉川美香さんと新谷仁美さんを導くように3人で積極的なレースを展開。アフリカ勢に堂々と立ち向かいました。その結果、新谷さんは両種目で自己ベストを更新したのです。「福士は後輩を気遣う余裕も出てきた。でもセンターポジションだけはまだ譲らないで欲しい」と永山忠幸監督は話します。
10年以上もトップを走り続ける福士さんの背中をみながら、後輩たちは朗らかさとチャレンジ精神を学び、世界へ挑む気持ちを強くしています。
(共同通信/2012年10月29日配信)
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