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おしゃべり散歩道2012

角田光代さんと

 電飾に彩られた旧山手通りは師走の様相。東京・代官山の蔦谷書店で直木賞作家の角田光代さんとご一緒しました。紺のセーターに青空色のスカート、ブーツ姿で現れた角田さんはまるで女子高校生のよう。柔らかな笑顔に癒されました。この日は角田さんが翻訳を手がけた「Because I am a girl」の出版を記念してのトークショーでした。海外の7人の作家が途上国の女の子の現状を紹介した短編集。角田さんも私も国際NGOプラン・ジャパンの支援者として世界の途上国の女の子を応援する活動をしているので、縁があったのです。
 超多忙を極めているのになぜボランティアで翻訳を引き受けたのかと尋ねると、「世界の女の子の現状を知って欲しかった。知ることから始まります」と角田さん。自身でアフリカ・マリとインド南部を訪れた時のことが前書きにあります。マリのある部族では女の子の性器を切除する風習があり、インドでは売春婦のカースト制度を強いられている少女がいることを紹介。その実情は日本で暮らす私には想像できませんでした。また角田さんの筆力で7人の作家それぞれの個性が豊かに表現されているのです。
 週末は執筆をせずに家のことやランニングで気分転換しているそうです。2年連続で12月初旬のNAHAマラソンに出場。今年は雨の中にもかかわらず5時間ほどで完走しました。マラソン大会には本名でエントリーし、秋に出場した東京の大会では新聞社から、那覇ではテレビのインタビューを受け「東京から来ました。楽しかったです」と答えたそうです。「全然気付かれないんですよ」と笑って話す角田さん。飾らない自然体がとてもステキな方でした。

(共同通信/2012年12月10日配信)

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