組織運営に外部のプロを
筍が土の中で自分の出番を待っているようです。「より強く」の象徴的だったレスリングが五輪種目の除外候補になったことに衝撃を受けました。紀元前776年の古代五輪でも行われていたという歴史ある種目。日本は吉田沙保里さんをはじめ多くのメダリストの活躍が国民を元気にし、子ども達に夢を与え続けています。ロビー活動が不足していたという声も聞かれますが、一番の理由は競技の「分かりづらさ」でしょう。84年のロサンゼルスから五輪は民営化が進み、テレビ中継で観て楽しいか、観客が多く入るかという点が重要視されるようになってきました。
例えばバレーボールは以前サーブ権が存在し、いつまでたっても点数が動かず、試合が長引くことが多々あったのです。それをラリーポイント制に変え、試合時間がある程度予測できるように。更にセットの途中で必ず2回(リードしているチームが8点と16点に達した時)のタイムアウトがあり、テレビにとってはCMを流す時間まで用意されました。柔道では母国・日本の反対にも屈せず、勝負が分かり易いように柔道着の色を白と青に。
それに対しレスリングは変革が遅れていたように思います。テレビで観ていてもポイントの入れ方が複雑で解説なしにはよく分かりません。ただ、9月の採用競技決定に向けて規則の変更を予定しているとのこと。また女性委員会や倫理委員会もこれから設置しようということです。
競技団体は、現役時代に実績をあげたOB、OGだけが役員でいると「自分たちのやっていることが正しい」と変革が進みにくくなります。外部から積極的に組織運営のプロを入れていくことが競技の発展につながると思います。
(共同通信/2013年2月18日配信)
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