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おしゃべり散歩道2013

東京の都市力に期待

 東京の河川敷で土筆がぴょこぴょこ顔を出し始めた3月1日、国際オリンピック委員会(IOC)のメンバー14人が来日しました。4日から視察が始まり、安部首相のスピーチをはじめ視察会場ではメダリストが出迎えるなど総力戦で東京開催をアピール。開催都市決定まで約半年ですが、英国のブックメーカーの予想では東京が最有力とされ、それにイスタンブールが追随しています。
 そんなライバルの地に十年近く暮らす友人が先日一時帰国し、一緒に食事しました。話題は自然とオリンピック招致へ。彼女の話によると「トルコはロンドン五輪で5つのメダルを獲得したけど、選手が帰国した時、空港にはあまり人がいなかった」と。そもそもテレビが五輪の中継をすることが少なく、新聞での扱いもそんなに大きくないようです。また「体育や音楽は富裕層がやるものという認識があり、以前は小学校で授業がなかったのよ」と。日本よりもスポーツ文化が根付いていないことを感じ、東京が有利かなと嬉しく思いました。
 ただ、これまで五輪が果たしてきた役割を考えると、反対にイスタンブールが有利なのかもしれません。なぜならIOCの大義はオリンピック精神を世界に広めること。スポーツ文化や五輪が根付いていない地域で開催することに意味を感じているからです。委員には貴族出身者もいて「施しを与える」ことを喜びとするためか、五輪を機に経済発展を目指す発展途上国での開催を支持します。
 とはいえ’12年に開催したロンドンや’24年の開催を目指すパリなど、先進国での「都市力」を生かした快適な五輪もひとつの流れ。環境、安全性、交通網など世界に誇れる東京の魅力は大なのです。

(共同通信/2013年3月4日配信)

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