励ましの言葉に力もらい
春の嵐が吹き抜けた3月13日、福島市飯野町にある仮設校舎で飯館中学校の卒業式が開かれました。飯館村は2年前の東日本大震災、放射線の影響から全村避難を余儀なくされ、卒業式を迎えた36名(同級生の16名は転校)の生徒は飯館、川俣、飯野町と学年ごとに校舎が変わりました。「村を追われ、学び舎を奪われ、友人を奪われ苦しかったと思う。でもあの困難を手を取り合って乗り越えた皆さんは、優しく強くなれた」と遠藤哲校長先生がご挨拶。広瀬要人教育長は「避難生活の中で部活動を再開し、中学校総合体育大会の地区予選に卓球、サッカー、バレーボール、野球、ソフトテニス、バスケットボール部が出場しました。どれほど村民が元気づけられたことでしょう」と。
パソコン12台を贈ってくれた岐阜県各務原市立中央中学校の生徒から温かいビデオメッセージが届き、宮崎県日南市細田中学校から届いたスイトピーの花が卒業生一人一人に手渡されるなど一味違う卒業式でした。
そして、合わせて行われたのが「日本人の忘れもの」石碑除幕式です。全国から寄せられた励ましの言葉に力を貰い、日本には先人たちから受け継がれ次世代へ残すべく宝物のような言葉があると感じ、飯館中の生徒達が起こしたプロジェクト。生徒達は全国から言葉を募り審査会(俳人の黛まどかさんや私も委員に)を開いて、選ばれた23の言葉を石碑に刻んだのです。ハートの形をした石碑には「お天道様がみてござる」「おすそわけ」「お互いさまです」等々が刻まれました。優しい言葉の数々は生徒たちが身に染みて感じたものでしょう。これからもこれらの言葉を心に刻んで強く歩んでいくに違いありません。
(共同通信/2013年3月18日配信)
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