心温まるフェスティバル
朝顔が上へ上へと蔓を伸ばし始めた6月下旬、宮城県女川町と石巻市へ。2日間にわたり「元気つなごう、絆フェスティバル」が三陸河北新報社の主催で開かれました。私は「元気の源は丈夫な脚づくり」をテーマに、ウォーキング教室の講師として参加。
一日目の女川会場は3月に人工芝が張られたばかりのグラウンド。その真ん中で優しい山々に囲まれる中、太鼓や獅子ふり(獅子舞)が披露され、まちの人々約200人が腰を下ろして見学。私も一緒にみましたが、神秘的な空気に体中の細胞が目覚めるようでした。
震災前、船の上で獅子舞を行い、岸壁などから観覧する「海上獅子ふり」が女川の名物でした。海岸線に点在する浜毎に祭りのチームが13あり、その呼び名を実業団と呼ぶそうです。震災で太鼓や獅子などを流されましたが、日本財団の寄付により復活。練習も再開してこの日を迎えたのです。
尾浦、女川、竹浦の3つの実業団の演舞を最初は笑顔で観ていたおじいちゃんの目に涙が溢れていました。その後、一緒に歩いたおばあちゃんが「家は流されちゃったけど、獅子ふりがあるから故郷はあるよ」と話すのを聞いて、私も涙がこぼれました。一日も早く港が復旧して、海上で演舞を行える日を願わずにはいられません。
翌日は石巻専修大学が会場に。5km、10kmのランと、1.2km×5人の駅伝が行われ、青森や長野、東京からも復興支援の一助になればとランナー達が集まりました。雨の中でしたが、何だか温かい大会。応援の人もランナーも、無料で振る舞われたホタテやホヤ、銀鮭を美味しそうに食べていました。お祭りやスポーツは皆の心を通わせ、つなぐものだと実感しました。
(共同通信/2014年6月30日配信)
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