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おしゃべり散歩道2014

過度な運動に注意を

 厚生労働省の2010年の調査を基にした辻一郎さん(東北大学医学部教授)らの研究によると、政令指定都市の中で健康長寿ナンバー1は浜松市であるとのこと。お茶や日照時間、社会参加などがその理由に挙げられています。そんな浜松市で先日、第26回運動器科学会が。その前日に市民講座があり、私も少しお話をしました。会長の藤野圭司さんは浜松市内で開業しており、健康寿命を延ばすために運動器(ロコモ)の重要性を伝え、地道な啓蒙活動を行っています。その成果もナンバー1の理由の一つでしょう。
 この日、基調講演を行った九州大学教授の岩本幸英さんのお話によると、平均寿命は1947年時点では男性50歳、女性が54歳。それが今や80歳と87歳です。人間は寿命が延びたことにより、膝関節や椎間板などの障害が多くなったようです。「でも脚や腰が痛いのは歳のせいだと軽くみてはいけない。介護保険利用の原因は、関節疾患や骨折などの運動器に起因するものの合計が22.9%と最も多い」と岩本さん。次いで脳卒中21.5%、認知症15.3%と続きます。また、ウオーキングなどの有酸素運動を続けることでコレステロール値も下がり、血流も多くなるので脳卒中や認知症の予防にも効果的。つまり健康寿命を延ばす秘訣は“運動”なのです。
 懇親会で、ある整形外科の先生が「成長期の選手に『脊椎側わん症』(背骨が左右に曲がる)が多くみられるんですよ」と。最近の研究でその原因の一つがスポーツのやり過ぎであると指摘されたそうです。人間の体を支え、動かす運動器。健康長寿のために、そして若い選手の健やかな成長のために、その重要性を改めて感じた一日でした。  

(共同通信/2014年7月7日配信)

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