人権意識向上へ村一丸
小学校の校庭の大きなニムの木の下に集まった約300人の村人たち。色彩豊かな民族衣装に身を纏った人が多く、踊りや歌で大歓迎を受けました。ここはアフリカ、トーゴのほぼ真ん中、パッソワデ村。電線のない真新しい電柱が赤土のメインストリート添いに立ち、これから電気が通ることが期待されます。
私は国際NGOのプラン・ジャパン(本部:ロンドン)が行っている子どもの人権や女の子の社会参加のプロジェクトを応援。7月中旬に訪ねたトーゴでは、出産時の医療不足や近親者同士の結婚などが理由で障がいを持つ子どもが多いのです。プラン・トーゴはその予防のための啓蒙活動を行っています。
歓迎のお礼に「バベネ コゾー」(おはよう)と現地の言葉で挨拶すると、皆一斉に笑顔になり大拍手。喜んだ夫が踊りに参加すると大きな歓声が上がり、その純朴さと反応の速さに感動しました。そして式典の途中、木の枝を支柱に一畳ほどの白い布が張られ、村で活動している講師がクイズを出し始めたのです。「障がいの種類にはどんなものがありますか?」。村人から多くの手が上がり、「目が見えない」「歩けない」など答えが出ると、その障がいを持つ人のイラストが描かれた紙を皆に見せながら白い布に貼っていきます。「子どもを家に隠しているとダメです。障がいがあっても仕事ができます」と美容師や修理工などの職業訓練のイラストも説明。おばあちゃんに抱っこされて聞く子どもや大人達の目も真剣そのもので、啓蒙活動の原点をみる思いでした。
1日1.25ドル以下で生活する貧困層が約4割のトーゴですが、人権を守る意識を高めながら村が一丸となる姿が美しかったです。
(共同通信/2014年7月18日配信)
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