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おしゃべり散歩道2014

生身の表現、迫力に感動

 ピンクのさるすべりの花が曇り空を明るくしていた8月7日、神戸で開かれた第27回全日本高校・大学ダンスフェスティバルを観戦に。高校生、大学生の創作ダンス日本一を決める歴史のある大会です。私は創作ダンスを観るのは初めて。高校の部が行われた会場のロビーには各校の選手たちが並んでいましたが、まだあどけなさが残る顔で「こんにちは」と誰もが元気に挨拶してくれました。陸上競技の選手は試合前には緊張してか無口な人が多いのに、雰囲気が違います。
 舞台ではアフリカのリズムに乗っておよそ30人が喜びを表現したり、「わたしはマララ」と題して学ぶことの大切さを訴えたり、その迫力に感動しました。この日に向けてどれだけの時間を練習に費やしてきたのだろうと思うほど、90チームすべてが素晴らしかったのです。自分たちが作ったテーマをどう表現するか、皆で考えながら呼吸を合わせ、チームワークの大切さを学んでいく。高くつくづく義務教育の必修科目にダンスが入るのが分かりました。
 観戦後、日本女子体育連盟会長の高橋和子さんに話を伺うと、「世界一踊る国といわれるセネガル(アフリカ)では部族間で殺し合うことがないのです。踊り合って共感し合って汗を流すダンスの力は大きいですよ」と。確かに私も観て感じたのは、体で表現することは吐き出すことにもつながっていくこと。今ネットなどヴァーチャルな世界での交流が多いなか、それが生身のコミュニケーションとして外へ向かう健やかさです。
 夏、全国各地で踊りが見られます。近所の盆踊りに参加してみたくなりました。音楽にのって、皆と輪になって踊れば、心もまあるく笑顔になりそうです。

(共同通信/2014年8月11日配信)

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