地域の指導者の情熱
ここ最近「山口茜」という文字が紙面に踊っています。バドミントン界のニューヒロインで、インターハイの女子シングルスで優勝。福井県立勝山高校の2年生のまだ17歳ですが、8月16日に開幕したユースオリンピック(南京)でも旗手を務めました。1m56cmと小柄ながらパワーあふれるプレーで世界と戦い、試合中は表情を変えず心の芯の強さが感じられる選手なのです。
彼女はお兄さんの影響で3歳からラケットを握り、小学生の頃は地元の勝山南部ジュニアクラブで競技に打ち込み、中学生になってからは高校生の男子選手らと一緒に練習していたそうです。
子どもの頃から女子の中でずば抜けている選手が、男子と共に練習できる環境はその選手が伸びる上で大事なことだと思います。私も選手時代を振り返ると、日本記録を次々に塗り替えていた頃は練習相手がすべて男子でした。山口さんが県外の強豪校ではなく地元の高校に進んだのも、勝山市が地域をあげてバドミントンに取り組む環境があるからなのでしょう。
お盆に千葉の実家へ帰った時、朝6時に母校の小学校のグラウンドへ。居た、居た!お盆休みもありません。毎朝ここで陸上クラブ「フジックス」が練習しているのです。地元の中学校で校長先生をなさり退職された藤江裕さんを中心に小学生から大人まで50〜60人が汗を流します。子ども達にとっては朝練習が、歯磨きするみたいな習慣。この日は200mのインターバル走。私も15本お付き合いし、小学3年生のアイナちゃんがライバルでした。
全国各地にクラブはあると思いますが、そこで指導するリーダーの情熱が子ども達の体と心を育み、将来の五輪選手を育てていくのだと思います。
(共同通信/2014年8月18日配信)
|