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おしゃべり散歩道2014

女宮本武蔵の活躍

 道庁前にオープンしたばかりの札幌市北三条広場には色とりどりのバラの花びらが敷き詰められ、幾何学模様やキューピッドの絵などが描かれていました。
 8月31に開催された第28回北海道マラソン。朝9時のスタート時の気温は22度でしたが、強い日差しもありどんどん上昇。でも走る選手にとってはチャンスでもありました。日本陸連が発表したリオ五輪のマラソン代表の選考基準には「暑さへの適性」があり、夏の北海道で結果を出せば良いアピールになるからです。
 女子で一番アピールできた選手は優勝した野尻あずささん(ヒラツカリース)と初マラソンで2位に入った森祥子さん(大塚製薬)でしょう。レースは序盤、野尻さんと森さんと矢野由佳さん(キャノンAC九州)が先頭集団を形成し、中盤に森さんが抜け出しました。一時は野尻さんに54秒の差をつけたもの、30q過ぎからペースダウン。後半もペースを落とさずに走っていた野尻さんが35q手前で森さんを一気に抜き去りそのままゴール。テグ世界選手権の代表も経験している野尻さんですが、マラソンは初優勝でした。ゴールするやいなや、富山から応援に駆け付けたお母さんとハイタッチ。そんな姿に、私はスタジオでモニターを観ながら涙がこぼれました。
 彼女は普段は一人だけで練習しています。この大会に向けては、立山や妙高高原、御嶽山など4泊5日の合宿を場所を変えながら行い、一日12時間走る日もありました。どうして一人で山籠もりができるのかと尋ねると「今まで誰もやっていないことをやりたいのです」とにっこり。自分流のやり方を楽しんでいます。明るい“女宮本武蔵”を感じる野尻さんの目標は「リオ五輪です」と。

(共同通信/2014年9月1日配信)

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