峠で試される女の底力
今年も多くのスポーツ大会が産声を上げました。その中の一つ、栃木県で日光いろは坂女子駅伝という新しい大会がスタート。距離23.4km、標高差875mのコースは、箱根駅伝の5区とほぼ同じ。険しい山道を5人の選手が襷をつないで登る、女性版箱根駅伝といったところでしょうか。紅葉が残る11月30日に行われ、東京農業大学や大東文化大学といった全日本大学駅伝に出場したチームの他にも、東京大学や埼玉大学といった国立大学も出場。
中禅寺湖から日光市馬返への第一いろは坂は28のカーブがあり、その多くがヘアピンカーブです。選手たちはその道を逆走し、コーナーの最短コースを走りながら、できるだけ前の急な坂を見ないようにうつむいて走り、その姿は修行僧のようでした。きっと山の女神も声援を送ったことでしょう。優勝は東農大、続いて大東大、大阪芸大。5区区間賞の大阪芸術大学の東本彩さんは、「キツかった。普段使っていない筋肉が目を覚ましているようでした」と。女子選手の強化につながる大会だと思います。
ところで、前日の土曜日に市民マラソン大会が開催されましたが、駅伝と全く違うコースでした。日光宇都宮道路を走るもので、女子駅伝と同じコースを走ればいいのになと思いました。プロゴルフのトーナメントが開催されるゴルフ場では、同じコースに挑戦することができる大会翌日の月曜日は大変な人気。箱根の5区をイメージできるコースを走って、翌日には女子ランナーがたすきを繋ぐ。きっと人気の大会になるはずです。
2020年に向けて、スポーツの力を活用する動きは加速するでしょう。日本各地で個性豊かなイベントが行われると面白いです。
(共同通信/2014年12月22日配信)
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