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おしゃべり散歩道2015

苦労の末の箱根制覇

 未年がスタートし、お正月恒例の箱根駅伝は青山学院大学の圧勝でした。5区山登りの神野大地さんが優勝の立役者。身長165センチ体重43キロの神野さんの雰囲気は山の神というよりも妖精のように可憐な感じ。私はお正月を熱海で家族と過ごし、両親や弟夫婦に青山学院の素晴らしさをテレビの前でずっと解説しました。あまりに熱く語るので父が「明美、ちょっと静かにしてくれ。テレビの音が聞こえねーよ」と言うほど。何が素晴らしいかって、監督の原晋さん(47歳)のお人柄。穏やかでスマートで、羊のような優しさがあり、常に「おかげさま」の気持ちを大切にしています。
 原さんは中京大学を卒業後に中国電力陸上競技部に入社しました。ところが故障が多く、目立った活躍が出来ずにわずか5年で退部。「坂口監督には本当に申し訳なかった。恩返しするためにこれから私が育てた選手を坂口さんに送れるようにしたい」と話していたのです。そして今、青山学院を卒業した米澤さんや出岐さん、竹内さんが中国電力の柱として活躍しています。
 坂口泰さん(53歳)は原さんとの関係を「師弟関係というよりは横の関係かな。退路を断って苦労した所が似ている。でも僕は性格が暗いけど、原は明るいよ」と笑いました。確かに、坂口さんもエスビー食品を辞め、全くゼロからのスタートで中国電力を日本一のチームにしました。原さんも同じ。別の大学や実業団出身の指導者は外様大名のような感じで、学校や会社、そして選手に自分の指導を理解して貰うまでが大変だったことでしょう。苦労人の二人だからこそお互いが励まし合えるのだと思います。二人の育てた選手が日の丸を付ける日が近い気がします。  

(共同通信/2015年1月5日配信)

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