クロカンは日本復活の鍵
1月下旬、ニュージーランド・クライストチャーチで約3週間合宿中の日本陸上競技連盟と日本実業団陸上競技連合の練習を見に訪れました。この日の気温は15度。湿気もなく爽やかです。選手達の宿舎を訪れると、練習を終えた野口みずきさんら6人の姿が。皆、ハードな練習を物語るかのように脚の筋肉が盛り上がり、肌が光って見えます。それを伝えると「ただ日に焼けているだけですよ」と野口さんはにっこり。彼女はニュージーンドが初めてとのこと。「宿舎の近くに400mの芝生のトラック、車で少し行くと松林の中を走るクロスカントリーコースもあり、本当にいい環境ですよ」とすっかり気に入っているようでした。
早速、クロカントレーニングに同行。驚いたのはコースのスケールの大きさです。馬やマウンテンバイクの道もある海沿いの広大な自然公園で、松林の中で1周9.3kmのコースを選手たちは2周組と3周組に分けて走りました。私もマラソン部長の武冨豊さんと廣瀬永和さん(シスメックス総監督)と共に1周挑戦。上り下りが続く細い土道を木の根っこを飛び越えたり、細かい砂の道を走ったり。転ばないように集中していると、感覚が野生に近づいていくようでした。特に砂の道は踏んでも踏んでも力が吸収されるので筋肉だけでなく、骨にくる感じなのです。走り終えた野口さんが「体のすべてが起きますね」と。その横でトレーナーの方が「クロカンの後にマッサージすると、皆の脚がフレッシュな状態になっているんですよ。足首や股関節回りなど普段はあまり使わない筋肉を使うのがいいのかもしれません」と。大自然の中のクロカンは日本復活のカギになりそうな気がします。
(共同通信/2015年2月2日配信)
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