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おしゃべり散歩道2015

私費投じてクロカンコース

 海を挟んで佐渡島が見え、あたり一面に豊かな田園風景が広がる新潟市西蒲区。ここは長岡藩に米百俵を贈った場所です。そして"走る職人たち"で有名な重川材木店陸上競技部が活動する所。お正月の全日本実業団駅伝にも出場する強いチームです。監督の重川隆廣さんから「ぜひ、うちのクロスカントリーコースを見に来て下さい」とお招きを受け、3月半ばにお邪魔しました。重川さんは新潟県立青少年研修センターに隣接する土地を取得し、私費を投じて8の字型の一周2kmのクロカンコースを作ったのです。
 この日、県内の長岡向陵高校の生徒や小・中学生、市民ランナー等約100人の皆さんと一緒にそのコースを走りました。土、砂、芝生など色んな路面を足の裏で感じられる豊かな環境で、自然と気持ちに解放感が生まれます。上り坂になると「さー、腕で上ろう」「上り切ったら佐渡が見えますよ」と重川材木店の選手がアドバイス。選手の皆さんは給水係も務めていました。「このコースで大会も行っています」と中学生が教えてくれて、市民ランナーの中には「重川材木店の選手を応援するのがワシらの楽しみさ」と話す人も。選手たちが地元を大切にし、地域の皆さん愛されていることに感動しました。
 重川材木店では引退後のキャリア形成も考えて、合宿時を除いては8時から15時までが仕事。職人として修業をし、手に職をつけて競技引退後もしっかりと働くことができます。この日送迎を担当してくれた元選手の渡辺絢也さんは「3年間陸上部にいて、今は床暖房の施工が仕事です。9月〜10月は冬を前に、施工したすべての家を点検しています」と。チームも床暖房のように温かです。

(共同通信/2015年3月16日配信)

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