スポーツ話に花が咲く
帯のように咲く赤やピンク、白いツツジが街を明るくしていた4月、NHKラジオの生放送で山口香さん(柔道家・筑波大学准教授)とご一緒しました。山田まりやさんがパーソナリティを務める軽やかなトーク番組。この日も山口さんはスッと凛々しい水仙のような佇まい。「今日も男前な感じですね」とまりやさん。リスナーからは「女三四郎と女瀬古のトークを楽しみにしています」と早くも期待の声が寄せられました。
先月、私が世界陸上選手権の代表選考に対して意見したことが話題に。「選考大会での優勝者に栄誉がないのはおかしいと思って発言したんだけど、山口さんはどう思う?」と。山口さんは二つの事を考えたと言います。「一つは陸上競技が詳しくない私でも名前が分かるスター選手がいないのが寂しい。もう一つは選ぶ基準については大会前に指導者や選手に周知徹底すべきだ」と、相変わらず鋭い意見でした。
柔道とマラソンの競技性の違いや解説の違いについても話は展開。マラソンは解説で選手のことをたっぷり話せますが、「柔道は畳みに上がる前の短い時間で選手の紹介を済ませます」と。女子は4分間という短い時間の中、一瞬で勝負が決まるので、マラソンの解説と対極にあるのだと感じました。
そんな会話が進む中で思い出したのは、アテネ五輪前に番組でご一緒した時のこと。日本女子代表選手団のコーチとしてプレッシャーを受けていた山口さんに「上を向いていきましょう」と私が励ましたら、「柔道では上を向いた時は負ける時なの」と。
日本オリンピック委員会の理事も務める山口さん。これからもスポーツ界全体をグイグイ引っ張って行って欲しいリーダーです。
(共同通信/2015年4月27日配信)
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