過保護な子どもが心配
まあるい顔の紫陽花が元気に咲いています。6月上旬、さいたま市で私立幼稚園のPTA総会に招かれてお話ししました。1000人ほどの若いお母さんたちが楽しそうに聴いてくれて嬉しかったです。
その後の昼食会では、園長先生たちに現場のことを教えて貰おうと、今度は私が質問を。何か困ったことはありますか?と伺うと「そりゃ増田さんの頃と比べると世の中が便利になりましたからね」と。自宅のトイレが自動洗浄になっているので、流すことを忘れている子が多いとか、汗をかいたので顔を洗いましょうというと「タオルをチンして温めて」という子もいるそうです。おしぼりで顔をふくのはおじさんだけかと思っていました。「性格も優しい子が多いですね」と先生方は話しましたが、過保護な子どもたちが厳しい社会の荒波に耐えていけるのかと私はちょっと心配になりました。
更にそう思ったのは、「泥遊びは汚れるから嫌」と無菌状態でいる子、「転んだ時に手を出さずに、顔から地面に突っ込む子」が本当にいるようです。一つのエピソードを一人の園長先生が話すと、他の園長先生方が頷きました。幼稚園から帰ったらピアノに英会話と習い事が多く、外遊びをしなくなったことが大きな要因のようです。運動神経が養われていないのでしょう。それで転んで頭にこぶができたら大変。大病院に連れて行って、CTやMRIで精密検査をする保護者も少なくありません。
体力をつけることは、何よりも危険から自分の身を守るために大事です。子どもは本来、野山に行けば嬉しくて走り回るし、仲間がいれば自然に遊びを考え出します。大人はあまり口出しせずに、大らかに見守ることが大切だと思います。
(共同通信/2015年6月8日配信)
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