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おしゃべり散歩道2015

道下さん、リオへ一直線

 スーパーの店頭にさくらんぼが並び始めた6月上旬、国際パラリンピック委員会の発表で、視覚障がい者の女子マラソンがリオデジャネイロから正式種目になることが決定。頭に浮かんだのは道下美里さん(28歳)の笑顔です。今年4月のロンドンマラソンで3時間3分26秒の3位に入り、リオの推薦基準をクリア。ほぼ日本代表を手中に納めたと言っていいでしょう。
 私は2013年1月の大阪国際女子マラソンを伴走者と共に走る道下さんの姿を見かけました。大変小柄(身長144cm)で、きれいなランニングフォ−ム。3時間9分55秒でゴールした彼女の周りに、たくさんの仲間たちが集まりました。可愛らしくていつもニコニコしているので人気者です。その時も「スタート前に西島美保子さん(当時57歳・視覚障がい女子マラソンの先駆者)から"私を抜いていってね"と励まされて力が湧きました」と話してくれました。その後、昨年の防府読売マラソンで2時間59分21秒の日本最高記録をマーク。また最近発行されたばかりの彼女の自伝書「いっしょに走ろう」(芸術新聞社刊)によると、'77年生まれの彼女は子どもの頃に膠様滴状角膜ジストロフィーを発症。25歳の調理師時代に視力が0.01以下になり、調理師を辞めて、盲学校に入学。そこで玉木千恵先生と出会ったのです。先生から「美里さんは真珠。真珠は稚貝の時に身の内に入り込んだ異物を自分の粘膜で長い時間かけて覆い、美しい珠に仕上げます」と言われて、涙が溢れたそうです。この言葉が道下さんの礎なのだと思います。「みっちゃんが笑顔なら僕は幸せ」というご主人にも支えられ、リオを目指す道下さん、がんばって下さいね。  

(共同通信/2015年6月15日配信)

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