得意分野で国際交流を
高円宮久子様は根付の研究に取り組まれており、3年前には大阪芸術大学で博士号を取得されました。そのご縁で年に数回、私も通う大阪芸大で特別講義をして下さいます。
学校関係者は「不思議と久子様がお見えになる日は晴れるのです」と言いますが、7月15日も梅雨時にも関わらず抜けるような青空が広がりました。
この日のテーマは「国際的な視野を育む」。「専攻は違いますが、所作だけでも学びたい」と話す学生もいて、目を輝かせた約200人が広い教室に集まったのです。紺色のスーツ姿の久子様は、まるで凛としたリンドウのよう。
日本の服飾文化である根付の美しさを、歴史や作家と共に紹介され、「世界中にファンがいて、根付は小さな親善大使です」と久子様。妖怪、和楽器、動物等、様々なものがモチーフとなっているそうです。そしてご自分がサッカーなどスポーツ団体の役職についていることもあり、スポーツ関係の根付を頂くことが多くなったと言われました。スポーツの話になると、久子様は何だか嬉しそう。
バンクーバーに留学中の三女・絢子様と共に、サッカー女子ワールドカップの3試合を観戦。なでしこジャパンの活躍を喜びながら「澤穂希さんとアビー・ワンバックさん(米国代表)がお互いを尊重する態度と友情の深さに感銘をうけました。人間の美しい姿です」と。二人が抱き合う姿を思い出し私も胸が熱くなりました。
またウインブルドンでの車椅子テニスダブルスで2連覇を果たした上地結衣さんとペアを組むジョーダン・ホワイリーさんの友情についてもお話しされ、「皆さんも得意な分野で国際交流を楽しんでくださいね」と優しく学生に語りかけてくださいました。
(共同通信/2015年7月17日配信)
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