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おしゃべり散歩道2015

世界陸上へ高まる期待

 7月半ば、スイス・サンモリッツで合宿中の前田彩里さん(23歳・ダイハツ)を訪ねました。標高1800m、朝の気温は15℃で日中は上がっても25℃位。清々しい気候の中、8月の北京世界陸上選手権に向けて練習する彩里さんは元気いっぱいでした。「日焼け止めクリームを塗ったとこと塗らないところはこんなに違うんですよ」と襟元をみせてくれて、爪にはアルプスの少女ハイジの絵が色とりどりに。明るくてとてもオシャレな選手なのです。
 監督の林清司さんは彼女の体の強さに驚いています。毎日3回練習で、走る距離は少なくても40q。本練習に40q走がある日はトータル70q走るそうです。それでも翌日がジョギングだけだと物足りないらしく、「監督、行ってきますねって、あの山に登っちゃうんですよ」と林さん。指さしたのは2700mの山で、彩里さんはマネージャの松金歩さんらと4時間かけて登ってきたそうです。
 私がお邪魔した日は400mのトラックでインターバルを10本。2日後の40q走へ備えての練習です。びっくりしたのはリカバリーの速さ。400mの間を100mのジョギングでつなぎますが、それが25秒と速い。また朝練習やウォーミングアップ、クールダウンのジョギングも、とにかく普通の人のペース走くらいに速いのです。驚いている私に「サラブレッドですよ」と林さんは一言。ご両親は共に実業団の長距離選手でした。お母さんの淳子さんは今も速い市民ランナーで、彩里さんは物心ついた時からお母さんが毎日20q位走り、フルマラソン大会に参加していました。北京では誰がライバル?と聞くと「選手のこと分からないんです。でも私らしく走ります」とにっこり。この自然体が彩里さんの強さなのでしょう。 

(共同通信/2015年7月27日配信)

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