増田明美のホームページ ビデオメッセージへ各種お問い合わせへトップページへ

TOP > おしゃべり散歩道 > 2015年目次 > エッセイ第47回
プロフィール
おしゃべり散歩道
イベント情報
出演予定
執筆活動
リンク集

おしゃべり散歩道2015

3連覇を目指すデンソー

 深い森に囲まれたグラウンドの向こうには山裾に雲を抱いた鈴鹿山脈を見ることができました。11月中旬、全日本実業団女子駅伝(クイーンズ駅伝)で2連覇中のデンソーチームを訪ねて三重県いなべ市へ。
 この日は小雨の降る肌寒い天気でしたが、若松誠監督は半袖のポロシャツ姿。気合がみなぎっていました。「猿が出てくることもあるので、長い棒を持って選手をガードしていますよ」と話してくれるほど周りは自然が豊か。隣の池に暮らす亀がグラウンドを横切ったり、鹿や猪が目撃されたり。山々に見守られている雰囲気はロッキー山脈の麓にある米国ボルダーにも似ています。
 「コンビニも近くになく不便ですが、逆に競技に集中する上ではいいですよ」とチーム最年長の正井裕子さん。確かに選手としての生活環境は素晴らしいものでした。寮はグラウンドから数百m。社宅の一室を改造したケアルームにはマッサージ用のベッドに加え、高酸素カプセルも完備。隣りにはみんなで一緒にご飯を食べられる明るい部屋も。そして選手は2DKの社宅を改装した部屋に一人ずつゆったり暮らしています。
 「普段は楽しいですけど、練習は厳しい。でもメリハリがあっていい」と話してくれたのは小泉直子さん。昨年のクイーンズ駅伝では2区区間2位の走りで優勝に貢献しました。その後タイムが伸び悩んだ小泉さんは「まだ頑張りが足りない」と若松さんに言われ続け、泣く日も多かったそうです。でも今は体が見違えるほど絞れ、キャプテンとしてチームを引っ張っています。「この1年で泣いていない選手はいない」と若松さん。厳しさに明るく立ち向かっていくデンソーが12月の宮城で3連覇を目指します。

(共同通信/2015年11月20日配信)

次のエッセイを読む 【2015年の総合目次へ】 前のエッセイを読む


Copyright (C)2001-2021 Kiwaki-Office. All Rights Reserved.
サイト内の画像・文章等の転載・二次利用を禁じます。